2019年1月24日木曜日

Bill Evans / そのリリカルなアドリブを分析



今日仕事場までの往復で
車の中でずっと聴いていたのは

Bill Evans(ビル・エヴァンス)
というジャズピアニストの

『How My Heart Sings!』

というアルバムです。
https://www.youtube.com/watch?v=3ButnM9OsyM



このアルバムの中からは

「I Should Care」
という曲と

「In Your Own Sweet Way」
という曲の

ピアノのアドリブ部分を
学生の時に
耳コピーしました。

ジャズピアノを勉強する人は
この人のピアノの耳コピーを
1度はするのではないでしょうか?



採譜してみて

左手のヴォイシング



右手のフレーズの微妙なタイミング



Bill Evans
リリカルなサウンドを
創り出していることが分かりました。



例えば

「I Should Care」

の中にある

Em♭5 ー A7
というコード進行

彼の左手のヴォイシングはこうです。



Em♭5コードの
9thである
"F♯"

から

A7コードの
13thである
"F"

への
半音進行

洗練(”ソフィスティケイト”という英語の方がふさわしいかも)
された響きで

都会的な感じがします。



右手のフレーズ

タイで結ばれた
強拍の音
(この場合1拍目と3拍目)


打たないので
(下の楽譜の2小節目~4小節目)

レイドバック
(メロディを拍点よりほんの少し後ろにずらしてたっぷりと歌う)

している様に聴こえます。


そうすることによって

切ない心情や
雰囲気を

醸(かも)し出しています。



メロディの骨組みは
民謡やゴスペルなどでよく使われている
長調のペンタトニック(5音音階)で、

そこに聴き(馴染み)易さが隠されています。



左手のヴォイシング
9th13th
を好んで使っていて

トライアド(三和音)
の音と
2度でぶつかり合う響きが
美しいです。



あとは
左手のコンピング(コードの伴奏)
のタイミングが

1・3拍目のウラに来るのが
どこか心理的に不安を感じさせ、

何とも儚(はかな)い感覚が生み出されます
(彼以前のピアニストは
 左手のコードを
 2.4拍目のウラに入れる事が多かった)。



このトリオは

3人とも
始終下を向いて演奏していて

「互いにどうやってコミュニケーションを取っているの?」

と思ってしまう様な
演奏スタイルに特徴があります

(過去の映像を知らないで見ると、
 良い年した大人の
 人見知りの集まり?
 と思ってしまいます(-_-;))。


Bill Evans自身は

「インプロヴィゼイションの中で対話している」

と言った旨の話をしています。


こういった演奏スタイルも含めて

メロディコード
使い方へのこだわりが

Bill EvansBill Evansになり得る
所以(ゆえん)の様に思います。

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